ブログ記事の引用・転載はすべて自由です。その際、ページのリンクを示していただけると嬉しいです。以下でキーワード記事検索ができます。

4月26日にメルマガ40兆個による細胞への攻撃が延々と続いていくを発行させていただきました。

2020年からの世界 人類の未来 日本の未来

変異か新種か。コロナウイルスが「毒性と感染性の強い株に進化した」ことが北京大学の研究で見出される。さらに新型ウイルスは「ウイルス性脳炎を発症させる」ことも判明

投稿日:2020年3月5日 更新日:


・3月4日の英国テレグラフの報道より telegraph.co.uk




 

変異なのか別種なのか

単なる風邪だと個人的に確信していた新型コロナウイルスですが、イランやイタリアでの妙に高い致死率を見て、「ん?」とは思っていました。

そうしましたら、最新の研究により、

「感染拡大の初期の頃とは違うタイプの新型コロナウイルスが拡大している」

ことがわかってきました。

しかも、「毒性が強くなっている」らしいのです。

さらには、旧タイプと新タイプのコロナウイルスの株は異なるものなので、「旧タイプと新タイプのコロナウイルスの両方に感染する可能性がある」とも報じられています。

3月4日、英国テレグラフは、中国の北京大学の研究を報じて、そのことを伝えていました。

ちょっと問題のある展開となってきているかもしれません。

まずは、そのテレグラフの記事をご紹介します。

 


 

コロナウイルスはより攻撃的な感染症に変異したと科学者は言う

Coronavirus has mutated into more aggressive disease, say scientists
Telegraph 2020/03/04

コロナウイルスは2つの主要な系統に進化しており、両方に感染する可能性があるという。

北京大学生命科学部と上海パスツール研究所の研究者たちは、新型コロナウイルスが「 L 」と「 S 」と呼ばれる 2つの主要な系統に進化したことを発見した。

古い「 S 型」は、より軽度で感染性が低いが、後に出現した「 L 型」は急速に感染が広がり、現在では症例の約 70%を占めていることがわかった。

1月21日に検査で陽性となった米国の男性の遺伝子分析では、この新型ウイルスでは両方のタイプに感染する可能性があることを示した。

この発見の数日前、英国政府の専門家が、ウイルスが「複数の波」で英国を襲う可能性があると警告し、仮にワクチンが作られても、変異株に対して機能しない可能性がある懸念を表明したが、北京大学の発表はそれを裏付けるものとなった。

英国リーズ医学研究所の微生物学協会ウイルス部門の議長であるスティーブン・グリフィン博士は、「 S 」系統と「 L 」系統の間の 2つの変化は「スパイク」と呼ばれる重要なタンパク質にあり、これは感染プロセスにおける重要な役割であり、ワクチン開発はここにターゲットが定められると述べる。

現在、約 35の研究所と機関がワクチンを開発するために競い合っており、いくつかのワクチンが来月中にヒトでの試験に移行する準備ができている。しかし、大規模な接種は来年までには展開されそうにはない。

ウイルス学者のジョナサン・ボール教授は、突然変異がワクチンの生産に影響を与える可能性があると警告したが、中国の結果は、より大きな研究で検証される必要があると述べた。

ボール教授は以下のように述べる。

「現時点では、新型コロナウイルスが病気の重症度や感染性に関して変化しているという確固たる証拠はないため、これらの種類のコンピューターベースの研究を解釈する際には注意が必要です」

103人の感染者からのウイルス DNA を分析した中国の科学者たちは、おそらく、中国では、危険度の低い「 S 型」が引き継いでいるようだと述べている。その理由として、中国では感染拡大が収まっているからだと言う。

しかし、英国エクセター大学医学部の上級臨床講師であるバラット・パンカニア博士は、中国で新規の感染者が減少している理由が何であるのかを知ることは不可能だと述べた。

パンカニア博士は以下のように言う。

「私たちは中国の本当の姿を知り得ません。中国で新規の感染者が減少しているということが事実の反映ではない可能性もあり得るかもしれません。また、ウイルスというのは、より危険性の低い株に変異することもあれば、超危険な株に変異することもあります。RNA ウイルスは非常にコピーミスを起こしやすいために、時間が経つにつれて変異が起きやすいのです」

ブラジルの 61歳の男性からもコロナウイルスの新しい突然変異が発見されたが、ロンドン衛生学校医学部のデビッド・ヘイマン博士は、開発されるワクチンは新しい株に効くはずだと述べている。

「このウイルスは安定しているように見えます。 RNA ウイルスでは、小さな突然変異は正常です」

今週、英国政府はアウトブレイクと戦うための戦闘計画を立て、最悪のシナリオでは、人口の 80%が感染し、高齢者や虚弱者の死亡率が比較的高くなる可能性があると警告した。

英国政府の科学専門家たちは、今回のアウトブレイクは約 4〜 6か月続くと予測している。

政府の最高医療責任者(CMO)のクリス・ホイッティ教授は、英国で現在どの変種が広がっているのかは不明だが、英国の人々の間で次々と伝染していると考えていると述べている。

ウィッティ教授は、ウイルスがすでに広まりすぎているため、英国が都市を閉鎖する中国の例に従う可能性は低いと述べた。

「都市を閉鎖することは、特定の場所で大きな流行があり、他の場所ではほとんど何もない場合にのみ有効です」と教授は言う。

「中国が都市封鎖のような対応をしたことは理にかなっていると思いますが、英国ではほとんどそれは有効ではありません。すでに現在ヨーロッパと世界中の複数の場所に新型コロナウイルスが存在しているのですから」

 


 

ここまでです。

英国の報道では、これは「ひとつの新型コロナウイルスが変異により2つのタイプの株にわかれていった」説明されています。以下の図は英デイリーメールからです。


Daily Mail

現在は、この「 L 」種の感染者が全体の 70%を占めているという推定となっています。

それにしても、このような短期間で、これほど激しく変異するものなのですかね。「2つの株のどちらにも感染する可能性がある」というのは、すでに「別のコロナウイルス」といえるほどの変異を遂げているわけですけれど、「本当に変異なのかな」と思う部分もややあります。たとえば、インフルエンザも RNA ウイルスですが、 3〜 4ヵ月で、こんなに大きく変異しますかね…。

突飛な考えですけれど、「まったく別の株が《新たに登場した》」というほうが理解しやすい気もしないでもないです。

うーん・・・まあ、私自身は相変わらず、このコロナウイルスの「出所」は自然界だとは思っていないですので(こちらの記事などご参照いただければ)、基本的には何でもありというような部分もありそうな気もします。

なお、新型コロナウイルスが「2度感染する可能性がある」ということは、二週間ほど前に中国の医師たちの談話として発表され、以下の記事で取り上げたことがありますが、再感染は、このような「 S と L の 2種類のコロナウイルスが混在する」ことが原因なのかもしれませんね。

武漢ウイルス 最新情報 2020-02-21 中国で「感染から回復した人」が再び感染

この「2度感染する」ということに関しては、当時、日本の医療関係者やメディアは、「再感染は確認されていない」として、とても批判的に報道していましたが、本日(3月5日)になって、日本のテレビメディアでも「再感染はある」と報じていましたので、ある程度、公式に「再感染はある」ということになりそうです。

3月5日のTBSニュースより

新型コロナウイルスの感染が最も深刻な中国・武漢で治療にあたっている医師が、記者会見しました。退院した人がその後、陽性となるケースが武漢でも確認されたことを明らかにしています。

会見の中で医師は、広東省などでウイルス検査で陰性となり退院した人が、再び陽性となるケースが武漢でもあったことを認めたうえで、「再度陽性になった人が、さらに別の人に感染させたという証拠は今のところない」としました。

国によって致死率が大きく違うというのも、あるいは、この「その国や地域に、2種類のコロナウイルスのどちらの比率が多いかによる」ということもあるのかもしれません。

それと…まあ、前回の以下の記事に書きましたように、中国当局の発表数値は、すでにほぼ意味がない状態となってはいますが、それでも、公式発表の数値でさえ、「中国での致死率はほぼ毎日上がっている」のです。当初、2.1%だった致死率は、今は 3.4%になっています。

中国の新型コロナウイルス感染者数の「数字操作のカラクリ」が明らかに。当局は老人養護施設の320万人、刑務所の160万人、そして臨時病院の180万人を完全にカウントから除外し、そして多くの死を「死因不明」とする指示を出している

いずれにしても、時間の経過と共に、他の国でも、今後、感染性や致死率に変化が出てくるのかもしれません。

3月5日現在の各国の致死率は以下のようになっています。感染確認者が少ない国の数値はあまり意味がないですが、一応、100人以上の感染確認者が出ている国と地域を示しています。

新型ウイルスの致死率
・韓国 0.6%
・イタリア 3.4%
・イラン 3.1%
・日本 1.9%
・フランス 1.4%
・ドイツ 0%
・スペイン 0.6%
・シンガポール 0%
・香港 1.9%

また、中国北京にある首都医科大学の研究は、この新型コロナウイルスが、

「中枢神経を攻撃している」

ことを突き止めました。

これまで「肺炎」というように言われてきたこのウイルスですが、これまでに、ACE2 という受容体との関係で、

・精巣を攻撃する
・腎臓を攻撃する

という可能性が挙げられていましたが、今回の北京大学の研究では、

・全身の神経
・眼球
・脳神経

にも影響を及ぼしていることが確認されました。また、脳炎を発症した患者が確認されています。

もちろん、これは重症化した場合ということだと思われます。

それを取り上げていた科学メディアの記事をご紹介します。

 


北京の病院がコロナウイルスが中枢神経系を攻撃することを確認

A Beijing hospital confirms coronavirus attacks central nervous system
cnTechPost 2020/03/04

首都医科大学に所属する北京地壇病院は 3月4日、脳炎を合併した新型コロナウイルス患者が 2月25日に退院したと述べた。

肺炎だけではなく、脳炎を発症した患者が確認されたことにより、集中治療室の責任者であるリウ・ジンギァン(Liu Jingyuan)博士は、意識障害がある患者に対しては、ウイルスが中枢神経系を攻撃している可能性を考慮しなければならないと述べている。

現在、新型コロナウイルス肺炎の患者の症状は、重度の急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、心筋障害、異常な凝固機能、腎臓障害、肝臓障害などの複数の臓器障害を併発する可能性があることが知られている。しかし、これまで、中枢神経系の関与が報告されたことはなく、今回の症例が世界初となる。

なお、SARS (重症急性呼吸器症候群)および MERS (中東呼吸器症候群)に関する以前の研究では、これら 2つの疾患を引き起こすコロナウイルスも中枢神経系の損傷を引き起こすことが示されていた。

北京地壇病院によると、1月24日に新型コロナウイルスによる重症の呼吸不全で入院した 56歳の患者は、入院後、インターフェロン治療、抗ウイルス治療、細菌感染の予防、および TCM 症候群の分化の組み合わせを与えられたが、改善せず、高熱、疲労、呼吸困難が徐々に増加した。

治療 96時間後(発症14日目)、この患者は、持続的なしゃっくりを伴う顎顔面および口角の頻繁な痙攣を発症した。

検査の結果、医師は、首の抵抗が陽性で、両側の瞳孔の光への反応が鈍く、手足の筋肉の緊張が増し、膝の両側反射等が見つかったが、頭蓋内 CT スキャンでは何も見つからなかった。生化学検査は正常だった。

北京地壇病院の重症医学部および中国疾病管理予防センターの感染症共同作業部会は、収集された脳脊髄液検体の解析を実行した。その遺伝子配列決定により、脳脊髄液中に新型コロナウイルスが存在していることと、ウイルス性脳炎を発症している臨床診断が確認された。

その後、医療スタッフは、ウイルス性脳炎に対しての治療を行い、神経症状は次第に消失した。

2月10日(発症24日目)に、患者の呼吸および神経機能の改善が評価された後、2月18日(発症32日目)に、患者は集中治療室から転出し、新型コロナウイルス病棟で治療を受け続けた。患者は 2月25日に退院となった。

 


 

ここまでです。

インフルエンザなどでも、稀に脳炎になることはありますので、不思議なことではないかもしれないですけれど、新型コロナウイルスは重症化した場合は、実に障害の範囲が広くなる病気とはいえそうです。

それと、この記事の患者さんの記録を見て思うのは、「完治までの時間の長さ」です。

発症から退院まで「39日」かかっています。

なお、今回の新型コロナウイルスでは、「後遺症」については、まだほとんど語られていないですが、同じコロナウイルスである SARS や MERS では、かなり多くの人たちに深刻な後遺症が残ったことが当時伝えられていました。

以下は、2010年1月の報道です。

SARSはまだ終わっていない…深刻な後遺症に苦しむ人々 - 中国

Record China 2010/01/06

SARSの終息宣言が出されてすでに6年以上。しかし、今でも多くの人々がその後遺症に苦しみ、人目を避けるようにコミュニティを形成してひっそりと暮らしているという。

骨壊死・肺線維症(肺の硬化や萎縮)・抑うつなどはSAR治癒患者に見られる典型的な後遺症である。治癒後数日〜数か月後に呼吸困難・視力低下・四肢(とくに股関節)の激痛などに見舞われ、彼らの多くが就労能力を失ってしまう。

さらに精神的な症状も相まって、彼らは徐々に社会からかい離し、自宅にこもる生活を送るようになる。北京市政府が04年に行った調査の結果、現在でも300人が苦しんでいることがわかっている。

後遺症患者有志のアンケートでは、彼らのうち約9割が骨壊死、約4割が重度のうつ病を罹患し、約8割が職を失い、約6割が家庭生活に困難を抱えている。

これは治療時に用いられた「糖質コルチロイド」というものの多量投与が原因のひとつだったとも言われています。中国の保健当局は、これまでに 5万人以上が退院したと報告していますが、今回は後遺症はどうなのでしょうね。

ウイルスそのものの性質や状況が早い速度で変化していますので、この先どうなるか予測を立てるのは、さらに困難になってきているのかもしれません。

 
>> In Deep メルマガのご案内
In Deepではメルマガも発行しています。ブログではあまりふれにくいことなどを含めて、毎週金曜日に配信させていたただいています。お試し月は無料で、その期間中におやめになることもできますので、お試し下されば幸いです。こちらをクリックされるか以下からご登録できます。
登録へ進む





  • この記事を書いた人

Oka In Deep

世界で起き続ける様々なことをお伝えさせていただいています。

-2020年からの世界, 人類の未来, 日本の未来
-, , , , , ,

Copyright© In Deep , 2024 All Rights Reserved.