正論4月号

あまりにひどい国会の体たらく 産経新聞政治部編集委員兼論説委員 阿比留瑠比

安倍晋三首相(右)へ質問する立憲民主党・辻元清美幹事長代行(左)=2月12日午後、国会・衆院第1委員室(春名中撮影)
安倍晋三首相(右)へ質問する立憲民主党・辻元清美幹事長代行(左)=2月12日午後、国会・衆院第1委員室(春名中撮影)

 ※この記事は、月刊「正論4月号」から転載しました。ご購入はこちらへ。

 国会とは何か。

 手元の辞書によると、国権の最高機関で、国の唯一の立法機関とある。ちなみに国権は国家権力、国の統治権のことを指す。民主主義国としてわが国が存続し、さらに発展していくために、必要不可欠の存在であるのは言うまでもない。

 ところが、われわれが現在、テレビの国会中継やニュースで目撃している国会の風景はどうだろうか。野党の質問では新型コロナウイルスの感染拡大など論じられるべき喫緊の重要事項はおざなりにされ、ひたすら安倍晋三政権への難癖、嫌がらせ、揚げ足取りばかりが目立つ。そして政府・与党側も、それを上手くいなすことができないでいる。

 こんな学級崩壊状態で、いじめが蔓延するような国会なんていらないのではないか。

 国会審議は本当に必要なのか。野党は何のために存在しているのか--といった民主主義の根幹を揺るがしかねない深刻な疑問すら湧く。

 さらにマスコミが、物事の優先順位と事の軽重を無視して野党のピント外れの追及の背中を押すのである。例えば、朝日新聞は2月13日付の社説「荒涼たる国会 安倍首相の責任は重い」で、安倍首相をはじめ政府側が悪いかのように一方的に断罪していた。

 「安倍首相の居丈高な反論やヤジ、しどろもどろの閣僚答弁…。建設的な議論を通じて、よりよい結論を導きだす。そんな『言論の府』のあるべき姿からほど遠い光景が続いていることに暗然とする」

 「批判を受け止める懐の深さや、説得力のある言葉と論理で対抗しようという冷静さは感じられない」

 安倍首相のヤジとは、立憲民主党の辻元清美幹事長代行による12日の衆院予算委員会での質問に対するものである。十年一日のように「桜を見る会」や森友・加計学園問題への官僚の対応を取り上げた辻元氏に、安倍首相は質問終了後、閣僚席からこんなヤジを吐き捨てた。

 「意味のない質問だよ」

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