ボルトン前補佐官、トランプ氏と矛盾か 民主党は証人召喚要求

画像提供, AFP
ドナルド・トランプ米大統領は、自らの政敵の捜査にウクライナが取りかかるまで、同国への援助を凍結するよう求めていた――。大統領補佐官(国家安全保障問題担当)だったジョン・ボルトン氏が、近く発売の著書でそう述べていると、米メディアが報じた。
トランプ氏については、ウクライナ疑惑をめぐり権力乱用と議会妨害があったと米下院で決議され、上院で弾劾裁判が開かれている。
<関連記事>
野党・民主党はボルトン氏を証人として召喚することを求めている。一方、トランプ氏は先週、ボルトン氏が証人になることは安全保障上の理由から望ましくないと、記者団に述べた。
トランプ氏は、大統領選で対立候補になる可能性のあるジョー・バイデン前副大統領とその息子について捜査するよう圧力をかける目的で、ウクライナに対する軍事援助を凍結したとされる。
トランプ氏は一貫して、弾劾に関連した動きを「魔女狩り」と批判している。
NYタイムズが報道
ボルトン氏の近著の一部は、米紙ニューヨーク・タイムズが26日に報じた。
それによると、トランプ氏は昨年8月、ウクライナに対する3億9100万ドル(約420億円)の援助について、同国がバイデン氏を含む民主党側への調査を支援するまで凍結したいと、側近に述べたという。
もしそれが事実であれば、見返りを目的に援助したことはないとする、トランプ氏の弁護団の主張を損なうことになる。
「大統領側と矛盾」
この報道を受け、弾劾調査を進めてきたアダム・シフ下院情報委員長(民主党)は、「ボルトンは大統領の主張の核心とまったく矛盾したことを言っている」とツイートした。
「弾劾裁判を公正なものにするなら、上院議員たちはボルトン氏を証人として呼び、彼のメモや他の文書を提供するよう主張しなくてはならない」
一方、ナンシー・ペロシ下院議長もツイッターで、与党・共和党がボルトン氏らの証人召喚を拒んでいるのは「いっそう弁解の余地がなくなった」と述べた。
ボルトン氏の弁護団や米政府は、コメントを出していない。