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NHKから国民を守る党をぶっ壊す!3

 先日、NHKから国民を守る党(N国党)についてのレポート第2弾を書かせてもらったが、その後もN国党と立花孝志代表の暴走は止まらない。このままでは「NHKから国民を守る党をぶっ壊す!」は第4弾、5弾といくらでも続きそうだ。ひょっとしたらN国党が無くなるまで続くのではないだろうか…。


◼️N国党の借金問題

 N国党の財政事情が危ういということは前回のレポートでも述べた通りである。その後のN国党の動きを見ていると、そもそも返済する気があるのかどうか怪しく思えてくる。
 N国党の立花孝志代表は、借金は政党助成金が入ればそこから返済するとしている。しかしそもそも政党助成金を借金の返済に充てることは公職選挙法で禁止されているのである。しかも、立花代表によると政党助成金のうち、年間2400万円は同じN国党の丸山穂高代議士に支払う約束になっており、その額は毎月200万円となる。同様に毎月10万円を参院選の際に130万円を貸してくれた地方議員28人への返済に充てている。さらに参院選の際に300万円の供託金を出してくれた候補者11人には、毎年300万円を3年間にわたって払う約束をしているため、毎月25万円を払わなくてはならない。上記のものだけで年間9000万円が必要となる。N国党の政党助成金の額は年1億6759万6209円だから、その半分以上を占める。
 また、前回のレポートにも書いた通り、N国党の必要経費は毎月900万円である。それだけで年間1億800万円となる。
 立花代表は新たに4億4600万円を借り入れているが、借金の総額は6億円にも上る。金利10%で計算すると、利子だけでも年間6000万円だ。以上の金額をトータルすると、政党助成金の総額をはるかに超える。

 立花孝志代表によると、これらの赤字は今後総選挙が実施されれば解消されるという。立花代表の予想では、N国党は総選挙では比例ブロック3%、小選挙区5%の得票を得られるため、政党助成金はそれぞれ1億2000万円と6320万円上積みされる。また2022年の参院選ではさらに1議席増やすことで、現在の2倍の政党助成金が入る計算になる。そして順調にいけば2024年には赤字を解消し、2025年以降は黒字になるというのである。
 ただし、このところのN国党の凋落ぶりを考えると、捕らぬ狸の皮算用でしかない。N国党が総選挙で惨敗。参院選でも新たに議席を獲得出来なかった場合、そうはいかない。

 このところ立花孝志代表の豪遊ぶりが批判されてもいる。11月、立花代表と丸山穂高副代表は名古屋のキャバクラを訪ねている。3日で2.5億円を稼ぐという売り上げ日本一のキャバクラ嬢エンリケ嬢が引退するというので、衆院選への立候補を薦めるためであったそうだ。その際に店での会計は180万円。丸山副代表は「税金で飲み会ありがとう」とツイートした。

 立花代表はその後も同じ店を訪ね、シャンパンタワーを注文。その売り上げは5200万円であったそうだ。

 とりわけこの2度目の訪問はN国党が4億円の借金をした直後であったため、余計に批判を集めることとなったのだが、立花代表は自身ではなく支援者が支払ったとしている。

 しかし、これは公職選挙法第221条にある「買収及び利害誘導罪」に違反していることになる。また奢ってもらった額が110万円を超えていることから贈与税がかかり、脱税と見なされる可能性もある。
 それにしても、立花代表はNHKをぶっ壊さなければならない理由の1つが「NHK職員の給料が高すぎる」ことだと常々言っているのだが、果たして自身はそれを批判することができるような生活をしていると言えるのだろうか。

◼️立花孝志の私生活

 立花孝志代表の私生活であるが、過去に結婚していたものの現在は独身である。前妻との間には娘と息子が1人ずついる。
 2018年に松戸市議に当選した中村典子氏は当時立花代表と交際していたが、2019年2月頃には別れたようだ。

 立花代表の現在の彼女は、司法書士の加陽麻里布氏である。2019年5月の足立区議選にN国党公認で立候補。当選に相当する得票を挙げながらも、足立区内に居住実績がなかったことから当選無効となっている。加陽氏は現在27歳。立花代表は52歳。年齢は父子程も違う。実際立花代表の娘と同い年とのことだ。立花代表のYouTubeでも時たま仲睦まじい姿を見せている。

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 N国党の牧原慶一郎氏はこう語る。「立花はクズ中のクズですよ(笑)。会うたびに違う女性を紹介してきますから。ツイッターのダイレクトメッセージで口説くんです。党関係の飲み会では、女性を指して『あいつともやッた』と聞いてもないのに自慢する。」(「週刊文春」2019年8月29日)

 立花代表の性の奔放さはTwitter上にも時折顔を出す。例えば、ニコ生主であった「ノンバイン」氏は立花代表にキスをされたと告白。立花代表はそれに対して「あらら ばらされた(笑)」と悪びれる様子はない。

 また、とある女性のツイートに対して、「愛してる🖤」「今度泊まりに行ってもいいかな?(笑)」などといったコメントを投稿。件の女性はツイートを削除してアカウントに鍵をかけるという事態となった。


 立花代表は日本に9つしかない公党の代表である。それほどの人物がまるで思春期の少年のようなメッセージを公の場で送るというのはいかがなものだろう。

■立花孝志連続落選

 前回のレポートで、N国党の立花孝志代表は単なる「選挙オタク」ではないかと指摘したが、参議院議員辞任後の立花代表を見ているとまさにその通りだとしか思えない。
 得票率13.6%で供託金が返還された参議院埼玉選挙区補選こそ健闘したといえる結果ではあった。しかし、その後の選挙では惨敗を続けている。11月の神奈川県海老名市長選挙では5.51%の得票率しか上げられなかった。これは批判票がもう1人の新人候補に流れてしまったということもある。もっとも同時に行なわれた海老名市議選でN国党の候補者を当選させるためという目的もあり、そちらは十分に目的を果たしている。
 続く奈良県桜井市長選挙では、現職市長との一騎討ちとなった。現地入りしたのが告示日のみということもあり、現職への批判票をまとめきれず得票率8.28%で惨敗した。
 現職市長と新人3名の争いとなった12月の東京都小金井市長選挙にも立花代表は立候補した。立花代表は告示日の12月1日に、小金井市とは何の関係もない埼玉県上尾市で街宣を行なっている。公職選挙法の規定では選挙運動の場所の制限は無い。そのため、12月1日に市議会議員選挙の投票日を迎える上尾市で街宣を行なったのである。上尾市議選にはN国党の佐藤恵理子候補が立候補していた。候補者が選挙運動を行なうことのできない投票日当日に選挙運動を行なうという狡猾な手法で、佐藤候補のアシストを果たした。
 その一方で立花候補自身は小金井市に一度も足を踏み入れず、ポスターすら貼らなかった。そのこともあってか、わずか678票で得票率1.68%と1000票にも届かなかった。対立候補が複数いるとはいえ4人の中で1.68%の得票しかあげられないようでは、衆院選で5%の得票率をあげるなどは夢のまた夢でしかない。

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 その一方で、地方議会におけるN国党の連敗もようやくストップしている。先にあげた埼玉県上尾市議選では、佐藤恵理子候補が当選を決めた。同日に行なわれた埼玉県朝霞市議選でも原田公成候補が当選している。朝霞市議会はもともとN国党の古参メンバーである大橋昌信・千葉県柏市議が議席を持っていた選挙区である。これらのことから考えられるのは、N国党は今や党名だけで当選することが難しくなったとはいえ、候補者の資質や選挙戦術によってはまだまだ当選の見込みはあるということだ。

◼️N国党の衆院選戦略

 立花代表自身もN国党の支持率低下は自覚しており、衆院選の戦略にも変化が表れている。当初N国党は衆院選の11の比例ブロックと285の小選挙区すべてに候補者を擁立する意向であった。それが、このところの相次ぐ敗戦もあって「無理しない」方向に変更したのだという。

 上杉隆幹事長と出演した動画の中で、N国党は衆議院11の比例ブロックのうち北関東ブロックと近畿ブロックに2名ずつを立て、残りは1名のみを立てるとしている。また、北関東ブロック(茨城・栃木・群馬・埼玉)の32小選挙区にも候補を立てる方針だ。比例北関東には、堀江貴文氏と秘書の齊藤健一郎氏、比例近畿には青汁王子こと三崎優太氏とその秘書を立てる。比例で立候補する4名と、小選挙区の候補者のうち20名は供託金を候補者が自己負担し、残りの供託金9000万円のみを党が負担するとのことである。
 立花代表は当初、衆院選で5議席獲得を目標としていた。それが最近では議席ゼロの可能性にも言及している。それどころか、衆議院選挙では当選者を出さなくとも0.6%以上の得票率を獲得すればN国党は黒字になるとまで語っているのだ。これではN国党は議席の拡大ではなく、政党助成金目当てだと言っているようなものではないか。

◼️衆院選の皮算用

 立花代表は衆院選では比例北関東の堀江貴文氏、比例近畿の三崎優太氏に加え、比例九州ブロックに元プロ野球選手の新庄剛志氏立てると明言している。もしそうなれば相乗効果で全員が当選出来るのだそうである。

 ところが、当の新庄氏自身は「これは無いっす」と語っているようなのである。

 確かに、N国党の衆院選特設ページを見ても、三崎氏や堀江氏秘書の齊藤氏の名前はあるが、堀江氏自身や新庄氏は載っていない。2人が立候補するというのは立花代表の希望なのか、それとも単にまだ交渉段階というだけなのかもしれない。

 ところでN国党唯一の現職衆議院議員である丸山穂高代議士だが、立花代表によると比例九州での出馬で調整しているという。しかし、丸山代議士は大阪19区で3期に渡って議席を得ている。すでに古巣の日本維新の会が伊東信久・前代議士を刺客として立てることを決めている状況ではあるが、丸山代議士としても簡単に近畿ブロック候補の座は引き下がれないだろう。比例近畿ブロックで保険をかけつつ、小選挙区の議席を死守する方向でいくべきではないか? 今後調整がうまくいかなかった場合、丸山代議士の離党などといった事態も招きかねない。

◼️立花孝志引退?

 その一方で度重なる選挙での落選を受けて立花孝志代表は選挙から引退することを示唆した。立花代表は今後は選挙には出ずに裏方に専念するというのだ。確かにここまで毎回のように惨敗すると供託金に加えてポスターやビラ代もバカにならない。選挙毎に2~300万円を失っている計算になる。支持拡大という目的があるにしても、あのように有権者を舐めたような選挙をしては、逆効果ですらある。

 以前立花代表は、新庄剛志氏が衆院選に立候補した場合、党名を「楽(たの)しんじょう党」に変更するというプランを提案していた。これは冗談だとしても、立花代表は代表を会派「みんなの党」を組む渡辺喜美参院議員に譲り、党名を「みんなの党」へ変更することを提案している。このところの迷走ぶりで、立花代表とN国党に悪いイメージがついてしまったことは確かだろう。そのイメージを払拭するために党名を変えるということは悪くはない。

◼️N国党の展望

 立花代表によるとN国党の党名変更は堀江貴文氏の反対もあって当分無くなったようである。しかし私は、その可能性は十分にあり得ると考えている。今後もN国党が選挙で惨敗を続け、総選挙だけでなく参院選でも議席を失ったとしよう。すでに相当に危ういと見られている立花代表の借金返済プランは完全に破綻し、借金だけが残ることとなる。そこで、N国党をいったん解散して、借金を無かったことにすることもあり得るのではないだろうか。実際2010年に解党した徳田虎雄元代議士率いる「自由連合」は、医療法人徳洲会のグループ企業から無担保で102億円を借り入れていたが、そのうち71億円(利息を含めて77億円の)が未だに未返済であるという。

 立花孝志代表は、記者会見で「腰を落ち着けて、公党の代表として、じっくりやっていきたい。できるだけ過激な路線は控える」と述べたというが、私はそれを額面どおり受け取ることは出来ない。私は立花代表が借金をチャラにするためにN国党を解散し、渡辺喜美参院議員を代表に新たに「みんなの党」を立ち上げるのではないかと考えている。しかしそうなると、現在34名いる党所属の地方議員の処遇が問題となる。彼らの大半は「NHKをぶっ壊す!」のワンイシューで当選しており、党の名前がなければ再選からして危うい。またNHK問題以外の政策に関してはほとんど関心のない議員もいるため、新しく成立した「みんなの党」の戦力として機能出来るかどうか疑問である。
 そこでN国党は国政と地方組織とを分離させるという形を取るのではないだろうか。国政の「みんなの党」とは別に、地方議員は「NHKから国民を守る党」のままで残るのである。ちょうど大阪維新の会が、国政政党としては「日本維新の会」と別政党になっていることと同様である。私は、総選挙でN国党が惨敗すれば、それがきっかけで分離に進む可能性が高いと予想しているが、支持率がこのまま下がり続ければ総選挙前にそうなる可能性もああり得る。

 どうやらNHKから国民を守る党にとって2020年は正念場となりそうである。このまま消滅の道をたどるのか、それとも再び飛躍を遂げるのか。もう少しだけN国党に注目していきたい。

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